賃貸契約を中途解約するとどうなるの？

掲載 : 2018.2.22

契約期間が満期にならない限り、大家が入居者に退去を求めることも、入居者が大家に退去を申し出ることもできないわけです。よって、このような事態が発生すれば相手の要求を拒否することも可能でしょう。

しかーし！

誰しも泣く泣く契約解除をせざるを得ない状況というものが存在します。

例えば、入居者の立場で、急な転勤や近所トラブルで引っ越しせざるを得なくなることがありますが、このとき解約して保証金が返金されなければ新居の保証金を確保できません。

大家の立場で、急にまとまったお金が必要になったり急な法律改定による税金対策が必要になったりして物件を売却せざるを得なくなることだってあるでしょう。

私は、日本円に換算すると保証金額が高額（数百万～数千万円）な韓国ではこのような事態が発生するのも仕方がないかと思います。一方が被害を被るのも事実ですが、チョンセやウォルセという賃貸制度を利用する限りは受け入れる寛大さも大切だと思います。

では、要求を受け入れる側が一方的に被害を被るしかないのでしょうか？

中途解約による不利益は？

大家の都合で解約の場合

大家の都合で入居者に退去をお願いする場合です。この場合、大家が入居者に対して次の費用を負担することが少なくありません。インターネットで調べればこのような事例がたくさん出てきます。

大家が負担

入居者の引越し費用
入居者の新居の不動産手数料#2

申し訳なさから大家側から提案してくるケースもありますし、被害を被る退去側が要求するケースもあります。しかし、これに法的効力はありません。慣習的なものなので大家側に強要することはできません。

引越しの距離や荷物の量によっても引越し代の金額が大きく異なりますし、新居によっては不動産手数料も高くなるでしょう。よって、負担額に上限を設けたり状況に応じて１つだけ負担したりする場合もあるかと思います。もちろん、大家によっては金額にかかわらず全く負担してもらえないこともあるでしょうが…。

【私たちのケース】
実はこの記事を執筆している今、私たち夫婦も大家から退去を頼まれている真っ只中なんです。チョンセ契約期間中ですが売却したいと電話が来ました。

この大家さんは賃貸取引の経験が浅く知識も豊富ではない方です。しかし、とても良心的な大家さんで、このような慣習を一切知らないにもかかわらず自分たちから引越し費用の負担を申し出て下さいました。

それに対して、私たちはウォルセ1件、チョンセ3件に住んだことがあるツワモノ！その過程でいろいろな経験をしたおかげで不動産知識は結構ありまして…。

法的効力はないことを前置きした上で、「このようなケースでは慣習的に引越し費用と不動産手数料を大家側が負担することが多い」という事実を伝えました。そして、契約を延長したばかりで契約期間がまだ1年10ヶ月も残っているということも。ただし、強要ではなく控えめにお願いするような形です。「一度、ネットで調べて見て下さい」と一言添えて…。断られれば諦めるつもりでしたね。

後日、2つの負担を承諾するとの電話がありました。そういった慣習を知らなかったそうです。この大家さんはもともと良心的な方でしたし、互いによい関係を築いていたこともうまくいった要因かもしれません。

入居者の都合で解約の場合

今の入居者が負担

次の入居者を探す
次の入居者と大家が賃貸契約する時に大家が支払う不動産手数料

すぐに次の入居者が決まるような物件なら問題ないかもしれませんが、場所によってはなかなか決まらない物件もあります。そのような場合、今の入居者（退去者）が責任を持って次の入居者を探さねばなりません。

特にチョンセの場合、保証金が高額です。次の入居者が決まらないと大家の意思に関係なく退去者に保証金の返金ができないケースがあります。「次の入居者が預ける保証金」を「退去者に返金する保証金」として回すからです。

この２つの入居者の負担についてもおそらく法的効力がないと思われますが、身勝手に解約する立場ですから少なくとも大家側からの要求があればきちんと負担すべきだと思います。

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